本コースの参加教員は、理工学研究科に所属する10専攻に教養の教員を含めた教員が自主的に参画する方式により運営されることになります。また、参加する学生が、修了時までに得られるスキルとして、①プロジェクトネジメントやコンサルタントのスキル、②各専門領域を横断的に俯瞰し各領域との関連性を論理的に思考することのできるスキル、および、③システム全体における役割を理解し、各研究テーマをさらに深化させることができる能力を持つことができるようになります。

このような指針に対応すべき多くのノウハウを持った教員と学生、また関連する内外の企業や研究所との連携を含めグローバルな環境に対応できる研究開発を実施していく予定です。

Øグローバルにつながる研究開発を実践する(取組事例)

その中で、いくつかの研究テーマのうち環境対策と同時にモバイル用の燃料電池の開発とを組み合わせた横断型プロジェクトが始まっています。このプロジェクトでは、経営工学専攻、機械工学専攻、電気工学専攻および先端化学専攻の4つの分野からの研究室の教員および学生が参加し、さらには、素材からシステムまでさまざまな研究分野の融合が期待されています。同時に、研究ミーティングや協定校であるコネチカット大学との交流等を通じて、各参加者が自分たちの役割を理解して、発展的な研究教育を実践しています。

具体的な内容としては、バイオマスガス化から得られる合成ガスを精製し、それを貯蔵し、さらに燃料電池携帯デバイスにバイオ水素を供給することを大きな開発目標に掲げ、1回のチャージで1週間程度の持続時間を得て、同時に従来のLi-ion電池に比べ、環境性にも貢献する機器の開発を目指しています。この場合、携帯デバイスの1ユーザー保有期間がアンケート結果から4年未満で比較的短い耐久年数であるものの、燃料電池による電力供給が安定的にできなければならないこと、燃料である水素に硫化水素や一酸化炭素が含まれないような工夫が必要であること等の課題があります。このプロジェクトでは、これらの課題を整理し、各課題を解決するための目標と開発する機器およびその導入効果について、適正化技術の導入をモットーに1つ1つ明確にしながら研究開発を行っています。また、このような活動を通じて、用途に合った微量不純物に耐性のある燃料電池の開発、モバイルに装着可能な薄型高容量キャパシタの開発、軽量化を考慮した高容量ストレージの開発、といった新たな研究開発要素も生まれています。

Ø本コースにおける研究テーマ

以上のプロジェクト例のように、本コースにおいては、温暖化への対策と持続可能な社会の実現という大きな目標のもと、そこに参加する教員および学生が参加し、主に次の4つのテーマ(分野)から融合的な研究および教育を推進していきます。

1.エネルギーシステムの提案・構築、2.素材開発(含む計測・評価)、3.プラント・装置・デバイス・等開発、4.全体システムの評価・検証 他

本コースの最終目標は、ここで生み出された研究成果が、エネルギー環境分野で大きな貢献を果たしていくことです。